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プロフィール
1972年大阪府生まれ。東京外国語大学卒業後、日本生命入社。私費でHarvardに留学し、2000年MBA取得。帰国後、ベンチャーキャピタル勤務を経て、ベスタグ株式会社及びその関連会社を2社設立し、デジタル商品や旅行関係に特化したインターネット上でのマーケティングビジネスを手がける。ベスタグ社では、PC・家電の価格比較サイト「coneco.net」を運営している。また、官公庁や企業でファイナンスやマーケティングの講師としても活躍中。
主な受講講座
第1回: これからの起業家に求められるもの
PC・家電の価格比較サイト「coneco.net」〔http://www.coneco.net〕の売上を急速に伸ばされているようです。起業されてから今日まで、会社が成長する過程において、様々なことを経験されていらっしゃると思いますが、柴田社長のお考えになる「理想の起業家」の資質やスキルはどのようなものでしょうか。また、起業を視野に入れてビジネススクールに入学される方々に、何を学び、どのように過ごすようにアドバイスされますか?
起業家には様々な資質やスキルが求められます。とはいっても成功している起業家がすべて同じ資質を持っているわけではなく、それぞれが持つ資質、スキルには多種多様なものがあります。その中でも例えばリーダシップのように共通に要求される資質というのは確かにあるでしょうが、それも人によって全く異なる形を取ります。それゆえ共通に求められる資質を挙げることは難しいのですが、あえて挙げるとすればそれは変化に対応する力だと思います。それはつまり新しい局面に遭遇したときに、周りまたは自分を変化させることによってそれを乗り越えることができ、そしてそのプロセスを楽しむことができる力のことです。
会社を取巻く環境は、刻一刻と変化し、経験したことのない問題が次から次へとあがってきます。そしてそれら一つ一つに対して経営者は判断をしてゆかなければなりません。また状況の変化に応じて自分のスタイルも変えてゆくことが必要になります。社員が数名の時と、数十人、数百人になったときでは経営方法やコミュニケーションの方法も異なってきます。環境が変化している中、自分もその変化に合わせて変えてゆくことができなければ、事業は存続しません。逆に変化に対応する力さえしっかりと持っていれば、どんな大きな変化の局面においても会社を導いてゆけるはずです。
変化への対応力を付けるには、まずできる限り変化を経験し、そしてそれら一つ一つの変化に対応する経験を積み上げてゆくことです。ビジネススクールにおいては、ケース一つ一つを擬似的にでも真剣に経験することも重要ですし、また授業以外でも積極的に自分にとって新しいことを経験することも重要です。私はビジネススクールの2年間、特に意識的にこれを行いました。今まで経験したことのないことにチャレンジする機会があれば、何でも試みました。そういう経験を数多く踏むことによって、「変化癖」、「チャレンジ癖」というものが身に付いたように思います。つまり、新しいことにチャレンジし、変化を経験することは自分にとって日常的なことであると思えるようになったのです。
起業を視野に入れている人に私が特に薦めたいもう一つのことはベンチャー企業で経営トップに近い経験をすることです。理想的にはビジネススクールに行く前に1年間程度、ベンチャー企業で経営者の補佐などの仕事ができれば良いですが、それが無理であれば、サマージョブやフィールドワークなどの機会を通じて少しでも経験することです。起業を目指す人にとってビジネススクールで学ぶこと全てが何らかの形で必要になります。しかし経営に近い立場での経験がない場合、リアルにその必要性が想像できないのです。従って短期間でも経営を経験することが重要です。仕事の機会を見つけるのが難しいかもしれませんが、ほとんど無報酬またはアルバイト程度の給与であっても仕事の機会を作るべきだと思います。ベンチャー企業であれば人材に困っているはずですので、経験と引換えに低コストで働いてくれる人がいれば大歓迎でしょう。将来的な経験の価値を考えた場合、低い報酬で働いたとしても十分元が取れると私は思います。
一方で起業を視野に入れていない人でも、起業というオプションを消し去らないことも重要だと思います。私の場合ビジネススクールに入学する前は、具体的に起業という考えはありませんでした。しかし、現地で勉強し様々なものに触れる過程で、起業を意識しました。ビジネススクールは基本的には経営者になるために行くところであり、そこでの学習を最大限生かすには起業という選択肢が一番だと思います。また仮に起業しなくとも、起業を念頭に置いて勉強することによって、ビジネススクールでのラーニングはより大きなものになるはずです。
第2回: ネットビジネスのマネジメントと可能性
ITバブルが弾け、ネットビジネスの世界でも淘汰が始まったと言われます。このような状況の中、さらに会社を発展させて、業界で確固たる地位を築くためには、どのように会社をマネジメントされるお考えですか。特にネットビジネスをマネジメントする際のポイントはあるのでしょうか。また、今後ネットビジネスはどのような展開を見せ、ビジネスとしてどのような可能性を持っているとお考えでしょうか。
いわゆるネットバブルが崩壊してからネットビジネスは厳しい時期を経験しましたが、ここへ来て環境は急速に改善してきています。ネットバブルと言われた頃は掛け声だけで殆どの場合は実態が伴っていませんでした。儲かっていたのはネットビジネスを支援する企業ばかりで、ネットを使ったビジネスを展開している会社はほとんど収支が合っていませんでした。その後、携帯がブームになり、携帯コンテンツの会社が大きく成長してきましたが、当初ネットビジネスの本命として注目されていたECビジネスはまだまだという感じでした。しかし昨年あたりから、常時接続、ブロードバンドの浸透などによって実態の伴う盛り上がりを見せ始めました。ネットビジネスといっても幅が広く、ひと括りにはできません。ここでは現在私が関わっているコンシューマー向けECビジネスを前提にお話します。
マネジメントする際に私が特に気を付けていることは大きく分けて3つあります。第一に技術進歩をウォッチすることです。私は技術者ではありませんので、技術の細かいところは分かりませんが、他の企業が新しい技術を用いて新サービスを展開したというニュースなどには常に目を向けています。この業界では技術の進歩が目覚しく、ちょっとした新しい技術が自社にとって大きな脅威となる場合もあり、逆に大きなチャンスになる可能性もあります。通常のビジネスでは技術進歩がビジネスに結びつくには時間がかかりますが、ネットビジネスの場合は技術進歩が即ビジネスに結びつきます。したがって技術の進歩を常にウォッチすることが重要になってきます。
次に私が気を付けているのは技術に限らないビジネス環境、トレンドの変化を見極めるということです。ネットビジネスは変化のスピードが速いといわれますが、実際に自分が関わってみてそのスピードには驚かされます。1年前には予想できなかったことが現在起こっており、それを考えると半年先でさえ予想することは困難な状況です。今消費者に何が受けているのか、何か新しいサービス又はビジネスモデルが現れていないか、企業の再編の動きはないかなど常にチェックしています。非常に変化の激しいビジネスにおいては、変化の動向の見極めを誤ると思わぬところでリスクを負ったり、又はビジネスチャンスを逃すことになりかねません。
最後に挙げられるのは他社との提携関係をどう構築するかという課題です。ネットビジネスほど頻繁に他社と提携が行われる業界も珍しいでしょう。当社も多くの会社と提携関係にあります。一口に提携といっても、色々な形態があります。当社でも販売代理店の関係から、共同プロモーション、共同ビジネスの展開などその時々の事情に応じて提携の仕組みを考えて実行しています。モノや設備が動く産業における提携と比べて、ネットビジネスにおいては他社と提携関係を作ることは比較的簡単です。だからといって効果も簡単に期待できるわけではありません。しかし提携の方法によっては単独では考えられなかったレベルへビジネスを大きく飛躍させることが可能となります。すべて自社で行うのではなく、コアな部分を残していかにしてその周辺部分を他社との提携関係によって補うことが出来るかという点がネットビジネスでは大変重要になります。
ネットビジネスの可能性を予測するのは非常に困難です。なぜなら予測できないくらい実に様々な可能性を感じているからです。インターネットは電話と同じでコミュニケーションの手段であり、電話がネットに変わっただけで本質的に新しいことはないと主張する人もいますが、私はそう考えません。一番分かりやすいインターネットビジネスとして、消費者向けECサイトを例にとっても単純に注文の受付がネットに変わっただけでないことは明白です。ネットで何かを買う場合、レコメンデーション機能があったり、その商品を購入した人が同時になにを買ったかという情報があったり、消費者によるレビューがあったり、自分の過去の購入履歴がでてきたり、また価格を瞬時に比較することもできます。これらの一部はリアル店舗では実現できなかったことです。
これはほんの一例ですが、インターネットの浸透によって人々の行動が大きく変化しつつあります。そしてネット上には今まで考えられなかったサービスが展開され、そしてそれがビジネスとして成立している以上、その背後には新しいビジネスモデルが存在する場合があります。ネットビジネスは非常にクリエイティブな世界であり、これまでの常識にとらわれない思考を持っていれば、これまでにない新しいビジネスを展開することができるのです。インターネット技術の進歩によって、現時点では予測できないくらいたくさんの新しいビジネスが今後も生まれてくるでしょう。その予測不可能性がネットビジネスの面白さだと私は思います。
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